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血便・便潜血陽性

血便・下血とは

血便とは、回腸や大腸、肛門から出血を生じて、赤色の血が混入している状態です。下血とは、食道や胃、十二指腸から出血を生じて、黒色の血が混入している状態です。血便や下血以外に、お腹の張るような感じがあったり、腹痛や便秘、下痢を生じている際は、詳しく調べる必要があります。痔と思っていても、深刻な疾患を発症しているサインかもしれません。出血を生じていましたら、速やかに当クリニックまでご相談ください。

血便の色

鮮血便

肛門や直腸付近から真っ赤な血が出ます。

暗赤色便

大腸の奥深くから出血を生じて、腸の途中で便に血が混じります。

黒色便

胃・十二指腸潰瘍、小腸から出血を生じます。血中の鉄分が胃酸で酸化されることで、黒っぽい色の便が出ます。また、貧血の薬を服用されている際にも、黒っぽい色の便が確認されます。

血便の種類

粘血便

粘り気のある粘液と血液が混ざっている状態です。炎症性腸疾患や大腸の感染症などで、粘血便を生じます。

粘血便

潜血便

出血していることを目視できなくても、便潜血検査により、血便を生じていることが確認できます。患者様の3%程度は、大腸カメラ検査によって大腸がんが発見されています。

血便の量

大量出血

大量の出血を生じている場合は、早急に処置を行う必要があります。出血性胃・十二指腸や食道静脈瘤破裂、憩室出血、消化管穿破、大動脈瘤消化管穿破などの疑いがあります。吐血を生じている場合は、出血箇所が胃付近の可能性があります。大量の出血を生じた際は、血圧測定されることを推奨しています。低血圧や呼吸が早かったり、脈拍が100を超える、意識が遠のく、顔色が悪い場合は、高度医療機関を受診しましょう。深刻な状態であれば、救急車を呼びましょう。

大量出血しているのか判断できない

出血量が多いかを判断することは難しいですが、瞼を裏返して目の粘膜を確認する方法があります。赤みを生じておらず、蒼白の場合は、急激に血圧が下がっている、もしくは貧血を起こしている可能性があります。赤みを帯びている範囲が少なくても、貧血をお持ちであれば深刻に思われる必要はありません。ただし、貧血をお持ちでない場合は、早急に処置を行う必要があります。気になる症状がありましたら、速やかに当クリニックまでご相談ください。

出血量が少ない

出血量が少ない場合は、眼瞼結膜に当てはまらないかを確認しましょう。出血を生じると、心配されるかもしれませんが、焦らずに、当クリニックまでご相談ください。

血便から考えられる病気

食あたり

腸に炎症を生じて、血便が現れるのは、O157(病原性大腸菌)やサルモネラ菌などに汚染されている飲食物を摂取することが考えられます。血便以外には、発熱や腹痛、下痢などを生じやすいといわれています。

痔にはいぼ痔や切れ痔があります。痔を生じることで血便が現れます。下記に当てはまる場合は、痔が原因で便に血が混じっている可能性があります。

  • 便の表面にわずかな血が付着する
  • トイレットペーパーに血が付着する
  • 排便した後に肛門付近から血が出る

胃潰瘍

胃の粘膜の一部分が欠損している状態です。ピロリ菌感染やストレスが発症に関係していると考えられています。症状は、食事の後にみぞおち付近が痛くなったり、黒色の血が混入している血便や吐血を生じやすいです。

十二指腸潰瘍

十二指腸の粘膜の一部分が欠損している状態です。若年者は、胃酸の分泌量が増えるため、発症リスクが上昇します。症状は、朝方や夜間に腹部が痛くなったり、黒色の血が混入している血便を生じやすいです。

潰瘍性大腸炎

長期間、大腸の粘膜が炎症を生じて、びらんや潰瘍が発生している状態です。国の定める指定難病疾患の対象になっています。症状は、粘り気のある血便や下痢を生じやすいです。症状の度合いが強まると、発熱や腹痛などが現れます。

潰瘍性大腸炎

大腸ポリープ

いぼのようなものが大腸の粘膜に発生している状態です。最初は症状が出現しませんが、進行に伴って血便を生じることもあります。大腸がんへ進行する可能性があるため、定期的に大腸カメラ検査を受けましょう。

大腸がん

ポリープを切除しておくことが大腸がん発症の予防につながります。進行すると、細い便が出たり、下痢や便秘、血便を生じやすいです。早期発見と適切な治療を行うことが大切です。症状の有無に関わらず、定期的に大腸カメラ検査を受けられることを推奨しています。

血便の検査方法

便潜血検査

目で見てわからないほどの血便を調べられます。大腸がんの早期発見に有効とされていますが、必ずしも大腸ポリープや大腸がんを見つけられるわけではありません。陰性反応であっても、大腸がんを発症していることがあるため、注意しておきましょう。

大腸カメラ検査

血便を生じている場合は、大腸疾患の疑いがあります。内視鏡スコープを肛門から入れて、大腸の粘膜を直接確認していきます。大腸カメラ検査は、大腸疾患の早期発見に有効とされています。

大腸カメラ

胃カメラ検査

黒色の便を生じている場合は、胃や十二指腸からの出血を疑われます。胃カメラ検査には、経口によるものと経鼻によるものがあります。食道や胃、十二指腸を直接観察することが可能です。患者様のご希望に合わせて、検査を行っています。

胃カメラ

便潜血陽性(+)を指摘されたら…

便潜血検査で陽性反応を示した際は、大腸から出血を生じている可能性があります。便潜血検査は、大腸ポリープや大腸がんなどの消化器疾患を発症しているかを判断する際に役立ちます。初期段階の大腸がんは、自覚症状が現れることはありません。進行に伴って、便秘や下痢、出血、体重低下などが現れます。治療は、手術を行いますが、がんのステージによっては生存率が変わってきます。定期的に便潜血検査を受けて、消化器疾患を初期段階で見つけましょう。

便潜血検査で陰性(―)なら心配いらない?

便潜血検査で陰性反応を示しているにも関わらず、30%程度の方が大腸がんに罹患していたというデータがあります。陰性反応を示していても、安心できるわけではありません。気になる症状がありましたら、当クリニックまでご相談ください。