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粘血便

粘血便・粘液便とは

粘液と血液が混入している便を粘血便、粘り気のある便を粘液便と呼ばれています。粘液は、全ての方がもっており、腸の粘膜から分泌されているタンパク質の1つとされています。便が腸の中をスムーズに移動するために、粘液便を生じると考えられています。本来、腸に吸収されるため、粘液便を自覚することはありません。何らかの疾患を発症したり、大腸にダメージを受けて傷を保護する働きによって、粘液便を生じることがわかっています。

粘液(便)の色

白色

食中毒や消化不良、冷え、下痢、ストレスなどにより、腸の粘膜にダメージを受けると、便に白色の粘液がつきます。一時的なケースもありますが、深刻な疾患を発症しているサインかもしれません。粘液便が続いたり、粘液量が多い、血便を生じている場合は注意していただく必要があります。

ピンク色

硬い便を排出するときや便秘により、肛門付近の粘膜や直腸にダメージを受けると、便にピンク色の粘液がつきます。少量の血液が混入している可能性があります。ダメージを受けた粘膜が治ると粘液便がおさまりますが、硬い便を排出する際に、再び粘液便を生じることがあります。

緑色

胆汁が酸化すると、便に緑色の粘液がつくことがあります。胆汁は、小腸や大腸で再度吸収されています。何らかの原因で腸の働きが低下すると、上手く吸収されなくなります。胆汁が酸化すると粘液化すると考えられています。ブドウ球菌感染症を発症している場合は、腹痛や下痢を生じやすい傾向にあります。

赤色

消化器疾患を発症すると、便に赤色の粘液がつくことがあります。このような状態を粘血便と呼ばれています。粘膜が炎症を生じて、消化器箇所から出血している可能性があります。出血箇所を特定するためには、詳しく検査を行う必要があります。

粘液便茶色は問題ない?

大腸を通過する時間が短い場合は、便の色が黄土色になりやすく、大腸を通過する時間が長い場合は、茶色やこげ茶色になりやすいです。理想は、匂いがきつくなくて、茶褐色か黄褐色の便とされています。少し柔らかめのバナナ2本程度が望ましいでしょう。

粘血便・粘液便から考えられる病気

感染性腸炎

腸に炎症を生じている状態です。サルモネラ菌や腸管出血性大腸O-157などの細菌やウイルスが発症に関係していると考えられています。夏は、細菌性腸炎が流行しやすく、冬にはウイルス性腸炎の感染率が上昇することがわかっています。症状は、発熱や嘔吐、腹痛、粘り気のある便、水っぽい便などを生じます。

アメーバ赤痢

大腸に赤痢アメーバと呼ばれる病原体が棲みついて、潰瘍を生じている状態です。症状は、発熱や嘔吐、腹痛、悪心、粘り気のある便を生じやすいです。

大腸憩室炎

大腸のへこみを大腸憩室と呼ばれています。治療を行う必要はありません。まれに、憩室の中に便がたまって炎症を生じると、出血を生じます。便の中に粘液が混入することがあります。

ベーチェット病

ベーチェット病は、突発性疾患といわれています。全身の様々な箇所で、何度も炎症を生じることがあります。原因は、遺伝的要因が考えられていますが、現時点では明確な原因はわかっていません。症状は、口内炎や皮膚のしこり、発疹、デリケートゾーンの潰瘍、粘り気のある便や粘液に血液が混入している便を生じます。

大腸がん

直腸やS状結腸にがん発生すると、血液が混入している便を生じます。肛門に近い箇所にがん発生することで症状が出現しますが、大腸がんは、自覚症状生じることはほとんどありません。血液が混入している便を生じていない場合でも、大腸がんを発症していることがあるため、注意しておきましょう。

腸重積

大腸が小腸の終わりの箇所に、侵入している状態です。腸重積は、乳児に発症する傾向があります。症状は、嘔吐や強い腹痛、血液が混入している便を生じます。大人が発症しても、目立った症状が出現することはありません。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜にびらんや潰瘍を生じている状態です。長期間、炎症を生じることで大腸がんの発症リスクが上昇します。食習慣や腸内細菌などが発症に関係していますが、明確な原因は分かっていません。症状は、腹痛や下痢、粘り気のある便、血便などを生じます。治療は、炎症を抑える薬を処方いたします。大腸がんの予防にも繋がります。

潰瘍性大腸炎

クローン病

国の定める指定難病疾患の対象になります。口腔から肛門にかけて、潰瘍を生じている状態です。原因は、細菌やウイルス感染、遺伝的要因、食習慣が発症に関係しています。免疫機能が過剰に反応することが考えられていますが、現時点では、明確な原因は分かっていません。症状は、発熱や腹痛、下痢、体重低下などが現れます。

クローン病

粘血便・粘液便が見られたら…

大腸にダメージを受けると、排便時に粘液が混入している便を生じます。必ずしも何らかの疾患を発症しているわけではありませんが、感染症や炎症性腸疾患の疑いがあります。粘液便が続いたり、粘液量が多い、腹痛や血便を生じている場合は、放置しないように気をつけましょう。